<< 2008年02月
123
45678910
11121314151617
18192021222324
2526272829

【今月の名言】大石内蔵助「では、お先に」

2008/02/11 08:27

 

 

元禄十六年(1703年)二月、前年の吉良邸討ち入り後、細川家など四家に預けられていた赤穂浪士四十六人に切腹の沙汰が下った。

 

前年十二月十四日の討ち入りから一ヵ月半の間、本懐を遂げた赤穂浪士の処置については、幕府だけではなく一般庶民に至るまで世論は沸騰していた。

 

義士の行為は武士の鑑であり快挙である、というのが大方の世論で、寛大な処置を望む者が多かった。幕閣内でも議論百出、儒学者の林大学頭信篤や浅見絅斎、加賀前田家の儒者・室鳩巣らは忠臣であると激賞する。

 

元々の発端は江戸城・松の廊下に於ける刃傷事件の処断が、浅野内匠頭の即日切腹・吉良にお咎めなしと云う片手落ちともいえる処にあったため、幕府中枢は苦慮していた。

 

武家社会の頂点に立つ幕府にとって、主君の仇を討つという行為は武士のあり方の根幹であり武士道に適うものである。しかしそのために赤穂浪士を助命すれば、そもそも浅野への拙速な処罰が間違っていたと幕府が告白するに等しい。しかもそれを裁断したのは、五代将軍徳川綱吉なのである。

 

一番困惑したのが徳川綱吉その人で、各方面に諮問した形跡がある。しかし最後には、柳沢吉保の政治顧問だった荻生徂徠の建議により、武士の礼をもって全員切腹という処に落ち着いたのである。

 

二月四日、切腹の当日、最初に切腹の場に向う大石内蔵助が同志や細川家世話役らに別れを告げた言葉が、「では、お先に」

 

死出の旅立ちにもかかわらず、多くを語らず別れを告げる一言の中に、大義を貫き志を遂げた男の矜持が凝縮されている。現代日本から失われつつあるもの、それが日本人としての、サムライとしての矜持ではないだろうか。

 

建国記念の日、溶けゆく日本の現状を見るにつけて、改めて思いを致した次第である。

 

ちなみに、『中央公論』大正六年九月号に掲載された芥川龍之介の短編小説に、『或日の大石内蔵之助』という作品がある()。討ち入り後に細川家預かりとなった大石の、安らかな満足感と共に自分たちの処遇と評判をめぐっての世論に戸惑う様が描かれた佳作である。

 

()新潮文庫『戯作三昧・一塊の土』に収録。

 

カテゴリ: 世界から  > 中国・台湾    フォルダ: 今月の銘言、今月の唄

コメント(0)  |  トラックバック(6)

 
このブログエントリのトラックバック用URL:

http://tafu.iza.ne.jp/blog/trackback/478716

トラックバック(6)

2008/02/13 04:12

毒餃子に関連した世論調査 [陸奥月旦抄]

 

 官営企業「天洋食品」製の冷凍「毒餃子」が引き起した殺虫剤中毒事件、中共官憲の現地捜査も少しは進んだようだ。そこで、日中両政府がどの時点で原因や捜査経過概要を発表するのか、当面の関心が深まっている。 …

 

2008/02/12 13:32

衝撃!ペンタゴン職員の中国スパイが防衛機密漏洩! [米流時評]

 

  ||| ペンタゴン戦略家は中国のスパイ! ||| 国防総省の戦略分析家で元ボーイング社エンジニアは中国スパイ! 台湾への武器輸出、スペースシャトルほか極秘情報を中国へ漏洩 米国時間 2008年2月11日午後6…

 

2008/02/12 11:52

共和党週末予備選はマケインの負け [米流時評]

 

  ||| 予備選ウィークエンダー・共和党編 ||| ハッカビーがカンザス、ルイジアナ予備選でマケインを下し圧勝 首位確定を焦るマケインをブッシュが支持、正統保守派は総否定 米国時間 2008年2月10日午後6時…

 

2008/02/12 11:38

オバマ5州パーフェクトゲームで週末予備選制覇 [米流時評]

 

  ||| ウィークエンド予備選の結論・民主党 ||| オバマがネブラスカ、ワシントン、ルイジアナ、メイン州で完勝 米国時間 2008年2月10日午前6時40分 | AP通信 | 『米時評』ysbee 訳 ワシントン発 …

 

2008/02/12 08:46

米兵暴行事件と米軍基地 [のんきな日本人]

 

米兵の鬼畜の犯行に怒り心頭ではありますが、そのことと米軍基地の縮小とはまた別の問

 

2008/02/11 17:10

建国記念日(紀元2668年) [陸奥月旦抄]

 

 本日は、建国記念日(紀元節)。神武天皇が即位された日。今年は、紀元2668年になる。たまたま大安で、久しぶりに青空が広がり、気持ちが良い。門口に「日の丸」の旗を掲げたが、風も無いので垂れたままである…